萩の露 槽場直汲み 中汲み無ろ過生

複雑だ!何を推すべきなのか!「槽場直汲み」ならではのピチピチガス感があることなのか。「生もと仕込」ならではの芳醇な旨みがきっちりあることなのか。「中汲み」ならではのお酒のいいとこ取りされた贅沢な米の甘み&旨みのバランス感を褒めるべきなのか!「無ろ過生」による酸のキレが感じられる喉ごしなのか。いろいろ推すところの多すぎる。

改めて感想を述べてみます。香りは生酛らしい芳醇な香り。揮発性を感じ、ややセメダイン感を感じる。味の方は一言で言えば「うまし」です。前半でコメントした通りで、どれが際立っているかというと、口に含んだ時の甘みでしょうか?喉ごしの酸味とともに溶けて行きますが、温度が常温くらいになるとバニラのような旨みが際立ってきます。肴なしにちびちびするもよし、濃厚なチーズとかにも合いそうです。

なんだろう?このラベルを見ているとカワサキバイクを思い浮かべてしまう。カワサキバイカーもぜひ飲んでください。

 

醸造元/株式会社 福井弥平商店
精米歩合/麹米55%(山田錦) 掛米60%(吟吹雪)
アルコール度数/17度
日本酒度/−1

商品名/萩乃露 槽場直汲み 中汲み無ろ過生 生もと仕込 特別純米

 

◆活車海老塩焼

これは別に肴に合わせて頼んだわけで無く、萩乃露を飲んでいる時に焼き上がったってだけです。もうパリパリ、サクサク。止められない、止まらない状態です。あー、ビールがほしーい!

飛露喜-ひろき- 特別純米 生詰

感動の一言に尽きる

驚いた。まさかこの時期にこの味に出会えるなんて!なにしろこの季節、「ひやおろし」が幅を利かせいるので、熟成、芳醇、などのキーワードのお酒ばかりを飲んでいる。それがどうですか!新米の新酒のような味なのですよ!

シュワシュワで、辛口。フレッシュ感たっぷり、ノド越しキレキレ。米の甘み旨みもたっぷり感じるが、芳醇ではない。そう、芳醇ではないのだよ!涙。嬉しー。美味しー。しかも純米酒ですよ!純米吟醸や無濾過生原酒とかでも何でも無いやつでこんだけ美味しいなんて。まさしく特別純米です。

四季醸造の進化

それは廣木酒造さんの通年商品であるからです。安定した技術と設備が整っている蔵元さんだから出来る事なのです。本来、四季醸造とは春夏秋冬、その季節に合わせた酒造りをする事でした。が、近年では単純に、一年中酒造りが行われることを指すようです。四季醸造で有名どころは旭酒造さんの「獺祭-だっさい-」や、奈良の油長酒造の「風の森」なども有名ですね。美味しいですね。

江戸初期までの「四季醸造」

新酒(しんしゅ)
前年に収穫した古米で旧暦の八月(今の9月頃)に造るお酒。
間酒(あいしゅ)
初秋に造るお酒。9月下旬の残暑が厳しい季節ですが、乳酸菌の発酵が容易だったなどのメリット。ただ臭いはすごかったらしい。もちろん古米。
寒前酒(かんまえさけ)
晩秋に造るお酒。いわゆる新酒と呼ばれているもの。今年獲れたお米で造り、11月下旬から12月にかけて卸されるお酒。フレッシュ感のあるお酒が主流。
寒酒(かんしゅ)
冬場に造るお酒。今の主流の造り方。
春酒(はるざけ)
春先に造る酒。気候が暖かくなっているので、浸漬(米を水に浸す)する時間を短くすることが出来た。発酵の進み具合の調節に工夫がいたようです。

幕府は米相場や食糧事情により酒造統制で寒酒以外を規制した。米が余り始めると、再び規制緩和し、「勝手造りの令」などによって四季醸造を解禁した。(いつの時代も政府はいい加減なもんです。)その後、いろいろあり、蔵元は不安定な四季醸造は造らなくなり、良いお酒が出来る「寒酒」造りだけが残ることになります。

こうして四季醸造は途絶えてしまいます。そして昭和の工業技術進歩により再び違う形で四季醸造は復活するのです。

そして昭和からの「四季醸造」

一年を通して季節ごとの特徴を活かした酒造りを行うことから、現在は一年を通して同じクオリティーのお酒を造ることを「四季醸造」と呼ぶようになりました。それを可能にしたのが「空調設備」です。外気温に影響されない低温の温度管理を一年通してできれば、冬と同じ環境の酒造りと酒米の管理が可能になります。「四季醸造」がこれからの近代日本酒造りの主流になるかもしれませんね。

そして季節はめぐる。

では、本当に一年中、同じお酒が出回るのかと言うと、そうでもないのです。春夏秋冬と季節の「旬」を愛でる気持ちは無くなりません。だから春には春の、夏には夏のお酒を求め、造られるものです。秋にはひやおろし。そして冬には新米の新酒で新しいお酒が出来たことを祝うのです。蔵元の努力と工夫でお酒の「旬」を造り出します。ほんとうの「四季醸造」とはそういうものなのかもしれません。

醸造元/合資会社 廣木酒造本店
精米歩合/55%
使用米/国産米100%
アルコール度数/16度

商品名/飛露喜 特別純米

阿櫻-あざくら- 特別純米 無濾過原酒

裏ラベルに蔵元さんのコメントがありました。(これからはあえてライナーノーツと呼んでみようかな)


原料米に、岡山倉敷の契約農家、
山崎農園さんが無農薬栽培で大切に育てられた「朝日」米を全量使用。
コシヒカリやササニシキのルーツであり、
今もなお「東の亀の尾、西の朝日」と言われ継がれている良食味米です。
私たちが追求する『食卓を愉しくする酒』が体感できます。

それではさっそく試飲。

うん。うまし!香りはほのかなフルーツ感。口に含むとやっぱりフルーツの甘み、米の旨みを感じられる。やっぱりこの時期の火入れはイイネ。(これは散々、ひやおろしを飲んできたための感想です。生原酒が美味いのは間違いない)そしてノド越しに鮮やかなまでの酸が、軽快でキレのあるものにしています。まさしく『食卓を愉しくする酒』である。

ここでひとつ情報。原酒と生原酒(生酒)の違い。

原酒…これは水で割っていないお酒のこと。

生酒…生=加熱殺菌処理(火入れ)をしていないこと。

今回のこのお酒は火入れがされているのできちんと味のコントロールが出来ている。たとえるなら「100%トマトジュース」でなく「80%ぐらいトマトジュース」と言って良いのでしょう。100%は濃すぎて飲みにくい!80%くらいが丁度いいと言う人にはベストなお酒です。(←あくまでも個人的な感想ですよ)

 

醸造元/阿櫻酒造 株式会社
精米歩合/60%
使用米/岡山県産朝日100%
アルコール度数/16度

商品名/阿櫻 特別純米 無濾過原酒 朝日仕込み 限定品

 

 

福田 特別純米 辛口

長崎のお酒です。珍しい!そしてラベルがいいね!これはジャケ飲みしなくては!米は山田錦なのですが、掛け米の「レイホウ」が判らない!まさかの二重国籍?2番じゃだめですか?とどうでもいい話はさておいて。早速試飲。うん、飲みやすいです。ここだぁって特徴はないけど、バランスの良いお酒です。ほどよい旨みとキレの良さを感じる。食事を邪魔しない、お肉でも魚介類でも幅広く合わせられるオールマイティーなお酒。*長崎の方では人気が出てきているお酒だそうですよ!

下の写真でコメントしていますが、ジャケットのイラストは糸ラッキョウだそうです。これは食べられるのかなぁ?

醸造元/福田酒造 株式会社
精米歩合/60%
使用米/麹米:山田錦 掛米:レイホウ
アルコール度数/15〜16度
日本酒度/+7

商品名/福田 特別純米 辛口

黒毛和牛とごぼうの土佐煮

絶品です。最初に鰹節の香りが鼻孔を優しくつつきます。肉のコッテリ感も、ゴボウの土っぽさも鰹節に包み込まれている感じ。すごくあっさり食べられます。極旨です。ごはんの上に乗せて食べたいぐらいです。ビールも合いますが、やはり日本酒を合わせましょう。

残草蓬莱 四六式 DRY辛口 槽場直詰 無濾過生原酒

商品名、長ーい!読み方もややこしい。(ざるそうほうらい よんろくしき)疑問だらけです。四六式って何?って話ですよね!まずはお味の感想を言っておきます。香りは無いのですが、すごいひねた(酸っぱい)感じのある酸味、個人的には苦手。それは酸が強くなる「白麹」を使っているからだそうです。でもドライと謳うだけあってノド越しキレキレです。アルコール度数も18度と強めです。ちょっと黒毛和牛とゴボウの土佐煮が勿体ない気がするので、他のあても頼んでおきます。

*それはそうと「四六式」って「麹」を使って醸造したものの事だそうです。なぜ「四六式」なのかわかりますか?ヒントは語呂合わせです。

製造元/大矢孝酒造 株式会社
精米歩合/60%
使用米/長野産美山錦100%
アルコール度数/18度

商品名/残草蓬莱 四六式 DRY辛口 槽場直詰 無濾過生原酒

◆ごまさば南蛮漬け

サバにごまがふりかけてあるわけでは無い。「ごまさば」という名のサバです。念のため。体の中央にごまを線上にちらしたような模様が走っていることから名付けられた。でもこの名は和歌山県での呼び名らしい。他の地域では「小紋サバ」「星サバ」「ホシグロ」などとも呼ばれている。マサバ(平鯖)に対して断面が丸いのでマルサバ(丸鯖)と呼ぶ地域が多いそうです。

残草蓬莱 四六式と合わせると「お見事」。ひねたような酸味が南蛮漬けの酢と相殺されお酒の旨み甘みが現れる。ああ、こんなにコクもあったんやぁ〜と残草蓬莱の裏の顔を覗かせる。残草蓬 莱四六式はひやかぬる燗くらいで飲むと味わい深くなるのかもしれない。やはりお酒と肴は一心同体少女隊である。

長珍 特別純米酒 PINK

長珍といえば新聞紙。で包まれたものをイメージしますが、これは力強いタッチの手描きロゴバージョンの長珍。しかも「PINK」。正確には「メタリックPINK」インパクト大です!どうやら特別純米のひやおろしのようだ。冷蔵貯蔵でひと夏を越え、満を持しての出荷。さぞかし芳醇なのだろうと、そばちょこを口に運ぶ。

意外や意外!!フレッシュだ。いや日本酒度+8から来るノド越しの良さがフレッシュに感じさせているだけかも。改めて味わうと香りはあまりないが、熟成によるコクがぐっと来る。甘さ控えめなジューシー感、そしてノド越しの酸味が心地良い。後にじわっと辛さが広がり残る。何度もいいますが、ひやおろしにしてはフレッシュなおすすめの「PINK」です。

ちなみに「BLUE」バージョンは純米吟醸。まだ飲んだことがない。

醸造元/長珍酒造 株式会社
精米歩合/60%
使用米/麹米 兵庫産山田錦20% 掛米 広島産八反錦80%
アルコール度数/16度

商品名/無濾過生詰 特別純米 PINK 長珍

◆ブリのゆず塩焼き

新鮮ブリをフライパンで焼く。それにゆず塩を振りかけているだけ。もう素材で勝負の肴。脂が乗っています。焼いていますが、身はプリプリしています。皮もパリパリしていてうまし。あっという間に食べれてしまいます。日本酒以外ないでしょう。

越前桂月 毛利 特別純米酒 ひやおろし

このお酒、実は2度チャレンジしています。申し訳ないが、一度目はダメでした。少しひねた感じと言えばいいのか、ヨーグルトのような甘い酸味な感じというのでしょうか、苦手な味でした。においも酸っぱい感じのにおいです。ただ、2度目にチャレンジした時は肴も濃いものを食べていたせいか、最初の嫌な感じは無くなっていました。酸味は強く感じましたが、嫌な酸味では無くなっていました。体調がそうさせるのか、お酒自体が瓶内で成長したのか。不思議な体験。こうなるともう一度、最初の条件で飲んでみたくなります。来年チャレンジしてみよう。でもこのお酒を入れてくれないかも…。

醸造元/毛利酒造 合資会社
精米歩合/60%
使用米/山田錦100%
アルコール度数/15度

 

で、その時頂いた肴は、

◆ごろいか焼き、お酒を旨くさせる憎いやつ。

イカをさばき、ごろ(肝・ワタ)、げそ、胴、耳、全部入れてお酒とお水と生ショウガで煮込んで出来上がり。もうちょっと何かしら工夫はされているとおもいますが、うまし。濃厚なワタが最高です。何杯でも飲めます。実際、2杯半は飲んでしまいました。上の「毛利」コイツとの相性はバッチグーでした。

磯自慢 特別純米 PB酒

特別純米の雄町じゃなく山田錦。

どうやら世間一般的には磯自慢の特別純米は雄町米らしい。瓶も緑色でラベルは縦ストライプで世界を視野に入れているのか英語表記も入っている。逆に関西ではあまり見たことが無い。こちらでは山田錦米なのです。というのもこのお酒は「酒のやまもと」さんが作っている「PB酒」プライベートブランド酒だからです。お味の方は…

あれ?これもひやおろしなのかな?どこにも表記は無いのですが…。この時期のお酒なのでそうなのかもしれません。いわゆる芳醇ってやつです。よくみればお酒の色も少し色が付いているようです。香りは軽くお米の香り。口に含んだ時のまろやかなコクを楽しめます。ノド越しは無いですが、後にあまり残らないので、スイスイ飲めますが、勿体ないので、ゆっくり味わいます。

*ただし、PB酒なので若干お安くお買い求められます。

いろはのいの字の磯じまん〜♬

全く別のもんですが、昔あった磯じまんのCM。昭和生まれの人は磯自慢といえばこちらを思い浮かべると思います。磯じまんを肴に磯自慢を飲むのも乙かもしれませんね。

あさ開ひやおろしは寒酒

熟成感たっぷり。ひやおろし感たっぷりです。香りはないのですが、口に含んだ時の濃厚な熟成感が広がります。とろみさえ感じる。ノド越しのキレはあまりなく、飲み終わっても口の中に旨みが残ります。どうしましょう。

「ひやおろし」と「寒造り」

寒造り」という新しい言葉を発見したので調べてみました。まずは改めて「ひやおろし」の説明をしますね。

ひやおろし」とは、冬に仕込まれたお酒を春先に火入れ(加熱殺菌)した上で貯蔵し、ひと夏を超して外気と貯蔵庫の中の温度が同じくらいになった頃、2度目の火入れをしない「ひや」のまま、「卸して」出荷することです。

寒造り」とは11月〜2月くらいの最も酒造りに適しているといわれている寒い季節にお酒を作ること。なぜ適しているかというと冬の寒い時期は雑菌が繁殖しにくいため。だそうです。今では普通の事なんですけどね。いや、現在では機械で自由に温度調節が出来るので、季節と関係なく美味しいお酒が出来てしまう便利な時代です。それでも季節を守って作っているって事は伝統を重んじているのでしょうね。

さてこの時期、ほとんど言って良いほど、ひやおろし。もちろんどれも美味しく味もそれぞれの蔵の個性はあるのでしょうが、基本的は芳醇でコクのあるお酒ばかりです。どうにか9月、10月にバラエティなお酒のラインナップは出来ないものなのかなぁ。と思いふける日々。1杯、2杯の人はいいのでしょうが、4杯くらいは飲む自分にはちょっと疲れてしまう。ふうー。ハードロックは好きやけど、一日中はきつい。あいだにちょっとアイルランド民謡をはさみたい。ドーナル・ラニーとかチーフタンズ、シャロン・シャノンもいいねぇ〜。

醸造元/株式会社 あさ開
精米歩合/60%
使用米/国産米100%
アルコール度数/15度

商品名/あさ開 特別純米 ひやおろし

*使用米の表記がありませんが、HPで調べてみると長野産「美山錦」を岩手での栽培に成功させ、独自の酵母によるお酒を作るために研究を重ね、8年越しに実を結んだ、岩手県産酒造好適米「吟ぎんが」というお米を使っているっぽい。

じゃあ、どーする?肴でしょ!

◆里芋と鶏団子とマイタケ煮

見た目はインスタ映えしないですが、味は絶品です。鶏とキノコのエキスがしゅんだ素材を活かした味付けになっています。里芋がもっちりしていて、それでいて食感も十分ある。キノコも味良し、香り良し、食感もよし。そして絶妙な炊き加減。健康を考えた一品です。

◆甘エビの天ぷら

生で食べれる甘エビを薄い衣でからっと揚げている。うまし。個人的に言えば、尻尾の天ぷらでいい。軽く塩を振ってあり、海老の甘さが引き立っている。

本当はえびの頭を焼くか、かりっと揚げて食べるのが好きなのですがね。頭は無いって事なので、尻尾で満足しておこう。